日食なつこ『逆光で見えない』を購入。
そのリリースツアーである「目くらましツアー」も行ってまいりました@札幌 くう。
ついでにその前日のインストアミニライブにも参加。
そんなわけで一時的に日食なつこ怒涛のインプットによって情動の整理が追いついていなかったんだけども、いろいろ書くのは諦めてとりあえずアルバムについて中心に書きます。
『逆光で見えない』は、1stフルアルバムという位置づけで昨年12月に発表されたアルバムである。
端的にいってとても良い。
日食さんの歌はもちろん、必要十分なピアノとドラム中心の編曲が素晴らしい。
発表済みの「黒い天球儀」「ヒューマン」といった楽曲が、音を減らした構成で再録されているのも良い。
もともとこのあたりの曲は、編曲に余計な音が多くてなぁ…と思ってたので、これらを録り直した本作が「ベスト盤」的な扱い(本人が言ってるのかわからんが)だというのは、個人的にも望む方向性であって嬉しい。
短いイントロトラック「( )」を明けて始まる「ヘールボップ」のイントロのピアノがいきなり良い。
和声楽器としてもリズム楽器としてもピアノこそが最強!と思わされるような、シンプルだが説得力のあるフレージングに出だしから昂ぶる。
この「逆光で見えない」という名のアルバムの幕開けが「ヘールボップ」なのは偶然じゃないだろう。
進む道が光あふれるものであったならば、前方はきっと逆光で見えないはずだ。
ヘールボップ彗星もすこぶる明るい存在だけれども、なぜか歌詞がそのヘールボップを励ますような物言いなのは、明るすぎる存在は「逆光で見えない」ものだっていう前提があると考えればしっくりくる。
続く「ヒーロー失踪」はアルバムに先行してタワレコ限定発売されたシングル曲だ。
ドラム、ベース、ピアノのクールなアンサンブルの聴き心地が壮快。
インストアライブでは電子ピアノ1つで歌っていたが、ペダルを踏む音がウッドベースの弦のアタック音のように鳴っていて感動した。
「水流のロック」は、自分が日食なつこを知るきっかけになった曲なんだけど、もうかっこいいとしか表現できないわ。
最初は何度聴いても歌に極端なピッチ補正入れてるようにしか聞こえなくて、アンドロイドみたいな人だなと思った。
komaki氏のドラムの入れ方がまた良いんだ。
今回インストアで始めてドラムのないバージョンで聴けたんだけども、どうしても頭の中でkomakiさんに引っ張られて三連符になってしまう。
ツアー本番ライブではピアノ×ドラムで原曲さながらの生演奏を味わうことができた。
しかしこのピアノとドラムという組み合わせ、小さなハコだとどうしても音量でピアノがドラムに負けてしまうのが難しいところではある。
「跳躍」は代表曲のひとつなんだと思うけども、このアルバムの並びの中ではどうしても装飾のダサさが浮いてしまうかも。
その次の「11年」は、短いが、歌詞とメロディの親和性が絶妙で印象に残る一曲。
メトロノームみたいなリム音にのせてワンノートでぼそぼそ歌う入りから、ディレイがかったシンボルに揺られるサビまでの完璧な流れ。
そんでもって「きれいなひとね って呟いたのがせめてもの抵抗だった」って呟くように締めるんだけども、普段の音程がアンドロイドみたいに正確なので、ちょっとずらしたときに出る「つぶやいてる感」がすごいんだよな。
残りの曲では、「floating journey」は、サビ前までだったら、このアルバムの中でも1番目か2番目に好きな曲だったかもしれん。
サビの語感の悪さが半端ないんだよなぁ。個人的な感覚かもだけど。
日食さん本人が「よくこんな良い曲かけたなぁと思う」と、堂々と自画自賛していたのが「あしたあさって」。
いたってシンプルな構成の曲だ。
さいこうの歌ができた!って思ったときにはやっぱり、余計な楽器やギミックなしにピアノひとつで歌いあげたいものなんかな。
最後は「10円ガム」。これまだ高校生とかのときに作ったんかいな。
遣われる言葉が耳心地良いせいか何度もリピートしたくなる。
「さわやかしんせんそらのした」ときて、残り1文字を待って待って、最後に「立派な大人になるのです」と解決するときのスッキリ感よ。
君がわざわざ送ってきてくれた
10円ガムの当たりは
まだ交換せずにとってるんだ
思い出の方が大事でさ
マキシマリスト代表のワタクシとしては、わかるわー。捨てらんない捨てらんない。
「君(=幼い自分)がわざわざ送ってきてくれた」ってのもおしゃれっすね。部屋を掃除してたら出てきたのか、あるいはタイムカプセルにでも入ってたのか。
結局だらだらと長くなったけど、以上。
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