人生いろいろでして転職しました。
IT業界に身を置いてはや十数年、ソフトウェアエンジニアとして3度目の転職となりました。
やったこと
個人的に紹介いただいた会社を除けば、転職エージェントにひとつだけ登録しました。
バブルというやつなのか、実際ソフトウェアエンジニアの求人情報は無限にあった。特に遠方からでもフルリモート勤務OKの企業が増えたことが大きい。
そこから自分の条件に合うものを絞り込んで、良さげなものがあれば応募。
ちなみに自分の場合は、地元で働ける or フルリモートで働けるというのがマストだったが、このフルリモートOKというのはまだ概念的に新しいせいか、そのものズバリの検索条件選択ができず、自由キーワードで検索するしかなかった。
しかしこの自由キーワードが1件しか指定できないので、「フルリモートも可」「フルリモートOK」「在宅勤務相談」「リモートワーク可能(※フルリモートは不可)」「リモートワーク・地方もOK」みたいな、思い思いに書かれた求人をフィルタリングするのに苦労した。
エージェント側からもAIだかなんだかでおすすめの求人メールが送られてくるが、件数が多すぎて自分で探すのと変わらないので見なくなった。
転職エージェントに感じたギャップ
特にIT業界専門というわけではない大手転職サービスを利用したのだけど、自分(主語を大きくするならソフトウェアエンジニア)からすると違和感を感じる文化が多くて困惑した。
もちろんエージェント側としては、どの企業からしても印象が悪くならない最大公約数的な方法論で正解なのだと思うし、決して強要されるわけではなく融通は効かせてくれたので全く不満は無いが、必ずしも転職業界一般のやり方に従う必要はないと思いますよという意味で記録しておく。
履歴書写真のネクタイ着用
わかりやすい例では、Web履歴書にノータイの写真を載せたら、印象が悪くなるのでスーツ・ネクタイを着用してくれと言われる。
写真でネクタイをしていないという理由で落とされる企業なら、入社しても必ずカルチャーアンマッチが起きる*1 ので、このままで良いですと伝えた。
求人数が十分にある状況では、どの会社からも内定をもらうつもりで臨むのでなく、むしろ相手側からも早い段階で合わなそうならふるいにかけてもらったほうが効率が良いと思う。
職務経歴書はWordで?
我ながらエンジニアのめんどくさい部分だなと思った話だが。。
職務経歴書を転職サイトにアップロードしておけば応募先企業にそのまま見せられるようになっていて、Wordで表組みするような資料はもう作りたくなかったので、Markdownで書いてPDF化したものをアップしておいた。
そしたら、エージェント担当者との会話のなかで、「PDFで作っていただいたものをWordに貼りなおして先方に送りますので」という話が出てきて「??」となった。
聞くと、書類上部に記載する「○○年○○月○○日現在」という日付の部分がだんだん古くなってしまうので、Wordで当日の日付が入る関数にしておけば便利!ということらしい。
いやしかし自分が企業の採用担当だったら、わざわざ違うエディタで作ってからWordに丸ごと貼り付けたような資料を送ってくる時点でちょっと効率の悪い人かもなという印象を持ってしまうし、「○○年○○月○○日現在」の日付が自動更新されるようになってたらそれ情報として嘘でしょ、と思う。
というのをエージェントの人に説明するのが難しかったが、とにかくPDFのままでお願いしますという旨伝えた。
入社意欲は伝えるべきか
「入社意欲を伝えることが大事」というのを折々強調される。
これは個人的な感覚になるのだけど、中途採用で入社意欲なんて伝えなくていいと思うんだよな。
新卒の一括採用では、10人に内定を出して8人に断られましたとなると採用計画が大幅に狂うので、こいつは本当に入社してくれるか?というのを内定出す前に見極めることが重要になる。
けれど時期の決まっていない中途採用なら、内定が出てから返事をするまでの期間なんてせいぜい1週間程度なのだから、入社してもらうつもりでオファーを出したものが断られたとしても、採用計画への影響はそこまで大きくならないのが普通じゃないか。
なにより、入社意欲騙りバトルはただただつらい消耗戦だ。
「弊社は第何志望ですか?」「第一志望群です」「群……とは他に何社くらい?」「ええと……」やめちまえ新卒採用もこういうやつ。
あるいは、内定を出したときに入社してくれるかどうかだけでなく、入社後にぐんぐん力を付けていってくれるかどうかを意欲によって見極めたいという向きもあろう。
しかしそれだって、ポテンシャルに期待できるのは新卒か若手の話で、業界10年の経験者となれば、もうポテンシャルなんて見てもらえない。
見るは実績のみ。
どれだけこの会社が大好きで、入社したら全力で学びますと言ったって、これまで学んで来たように見えない人なら信用されない。
企業に感じたギャップ
選んでやる意識が透ける企業
もう言われ続けていることだが、今時「求人応募者を選んでやる」スタンスを前面に押し出して許される企業はGAFAMくらいなもんで、選ぶと同時に選ばれる立場であるどころか、昨今のエンジニア採用難を考えれば、むしろ企業側がどう選んでもらうかに重心を置いて考えられないと、採用はなかなかつらい時代じゃないかなと思う。
選考を受ける側としてそのへんの意識をどこで感じるかというと、たとえば一次面接で会社説明もなくいきなり「志望動機を教えてもらえますか?」から始まってあれこれスペックを探るような質問をされると、おお選ぶ気満々だな。。と引いてしまう。
SPIはやめてほしい
新卒採用ならまだしも、専門職のキャリア採用でSPI試験はやめてほしい。
プログラミングスキルが知りたいならプログラミングの試験をすればいいし、それをしないのは、スキルを測れる人間がいないと告白しているようなものだ。
パッケージ化されていて楽なのはわかるが、入社してSPIを解く仕事をするわけじゃないので、そこは手間をかけていただきたいと思った。
反省と学び
ポータブルスキル大事
転職する度に思うが、大事。
まずコミュニケーション作法やら仕事術やらはもちろん大事。だがこのへんは特に意識しなくても基本的にポータブルだと思う*2。
意識しておかないと持ち運べないスキルになってしまいがちなのは、専門的な技術のスキルやナレッジだ。
IT職なら言語やフレームワーク、ミドルウェア、DB、アーキテクチャから開発フロー、リリース方針に至るまで、自分のチームで採用している技術が業界のメインストリームでないことは多々あるが、それが業界ではどういう位置づけにあるもので、自社の運用としてはどのへんが一般的でないのか、というのを常に把握した状態で働くようにすると良いと思う。
特にベンダーロックインされたシステムの開発ばかりやっているときには、このへんを意識しておかないと、別の世界を覗くときのハードルが高くなる。
いい感じにやるスキルの言語化大事
ごちゃごちゃになったプロジェクトでもなんやかんやうまく立ち回ります、じゃ何も判断できない。
どの言語を何年やって、どのフレームワークの利用があるといったことは経歴として表現しやすいが、いつも企業が求めるのは、+α の「いい感じにやる」スキルがある人間だ。
しかしこの「いい感じにできます」はアピールが難しいし、企業側がここを探ってくれるとも限らない。
企業側から具体的に前職などでのエピソードを聞いてくることもあるが、聞き出したい本質(=いい感じにやれるか)は同じでも、聞き方は人によってちょっとずつ違う。
- 力を発揮できたこと、活躍できたことは?
- 失敗したことは?その原因は?そこから学んだことは?
- 挫折したことは?どう乗り越えた?
- つらかったプロジェクトは?
- 達成感のあったプロジェクトは?
自分はどの部分を「いい感じ」にできるのが強みなのか(チームリード/交渉/情報の体系化/空気作り/正確な作業/作業スピード/アイデア/根性 etc.)を自己分析した上で、それを裏付けられるエピソードを上記のような切り口で用意しておけると、面接に臨むときの心の余裕も生まれると思う。
意外とカジュアルな条件交渉
最終面接くらいになると、企業側からも具体的な年収の確認があったり、ぶっちゃけ他からいくらでオファー出てます?という話に近いあけっぴろげな交渉が発生した。
転職エージェントの人からも、他からこういうオファーがあって条件面で迷っているようです、といった話を仲介してもらうことができたので、直接の交渉事が苦手な人にとっては助かる。
またオファーを断る際にも、正直に「待遇面で他社を選びました」ということを伝えると、「条件を改めて再度オファーできないか、少しだけ時間ください」という話に繋がったりしたので、率直に話をするのが吉だと思った。
その他
今回は自分の技術ブログなんかもオープンにして経歴書に載せてみた。
それになんらかの効果があったのか、プラスに働いたかマイナスに働いたかはフィードバックをもらわなかったので不明。
活動結果として
関東の企業にて、札幌からフルリモート勤務することになりました。
新たに覚えることが沢山だが、今のところすこぶる快調。
戦歴を落ちた受かったでいうならば、10社応募して、内定が3社、選考辞退が1社、書類やら面接やらで不合格が3社。
残り3社のうち、2社は応募に対するレスポンスなし、残り1社は面接して1ヵ月近く経っても結果待ちのままだった…。