8月発売のバズマザーズの新しいアルバム『怒鳴りたい日本語』。
それなりに聴いたので感想をば。
本作は一応3枚目のフルアルバムという位置づけらしい。
フルアルバムといっても全7曲。少なめではあるけど、まあ個人的にはちょうどいいくらいの曲数だと思う。
一聴して感じるのは、歌詞がますます聞き取りにくくなってる笑
山田氏は昔から滑舌は悪いんだけど、最近の聞き取りにくさは滑舌の悪さ故ではない。
まあ1曲目の「怒鳴りたい日本語」みたいに、単純に読解困難だってのもあるんだけど、それ以上に、言葉を音に寄せてきてるなという印象。
バズマザーズはとっくに、演奏は平凡だが歌詞で勝負、なんていうバンドではない。
音ゆえに、演奏ゆえに言葉がかっこよくて、その言葉ゆえに音がかっこよくなるという稀有なバンドだ。
特に本作では、1曲目から、言葉の音へのハマり方が絶妙すぎる曲が続く。
4曲目「ユナ」くらいまで、聴いただけではほとんどなんて言ってるかわかんないんだけど、それは聞き取りやすいように配慮した歌い方ではなく、一番完璧に音が鳴る歌い方をしているからだ。
聴いた後に歌詞に目を通すとそれがよくわかる。
「麻婆豆腐殺人事件」の歌詞は、そういう意味でのひとつの完成形といっていいと思う。
打ち上げのチャイニーズレストランで
業界人でございって風貌の男
話し方が嫌 話す事も嫌
笑い方が嫌 笑うとこも嫌
極め付けは咀嚼時のぬちゃ
アルバム全体としては、いよいよバンドのスタイルが確立されてきたかなと。
前作から1年、奇をてらって新しいことをするわけでなく、ひたすらにギターのノイズを、リフを、メロディーを研ぎ澄ましていく。
キャッチーなバンドが一時的にもてはやされてはすぐ飽きられる、まるで希望のないミュージックシーンにあって、こういう成長を続けることが一番難しいんだけどな。
そして、もはや武器になりつつある山田亮一の、ともすれば女性蔑視とすら取られかねない(そしてそのせいで微妙に広く受け入れられないんじゃねぇかとも思うけど)女性描画の「スカートリフティング」も良い。
日捲り捲られて夏の跡
誰があの娘を女にしたか
袋綴じ破れた俺を見る
誰にだって描けそうな漫画の眼
男の欲望のたがを表現するものとして「袋綴じ」は完璧。
「誰にだって描けそうな漫画の眼」は、コンタクトのデカ目かね。
「レインマン」はあんま聴いてない笑
好みの問題かもしれないけど、バラードにしてもちょっと退屈に感じるかも。
続くリードチューン「ハイエースの車窓から」は、やっと肩の力が抜けたような、素直な良い曲だと思います。
アウトロダクションから「ロックンロールイズレッド」のイントロが流れてニヤッとするギミックがあったりする。
同じ車中で書いた曲だったりするのだろうか。
こちらからは以上だ。
- アーティスト: バズマザース
- 出版社/メーカー: HZL Record / Living,Dining&kitchen Records
- 発売日: 2015/08/05
- メディア: CD
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