2014、これを超えるアルバムはもう出てこないだろう。
バズマザーズ、3枚目のアルバム『THE BUZZMOTHERS』。
2014年の夏の終わりに自分がこのアルバムを聴いてうおおと思ったという記録を残しておきたいので書きます。書くぞー。
正直、このバンドにまさしくこういうアルバムを出してほしいと願っていた。
その期待にあまりにもマッチした作品だったので、他の人がこれを聴いたときにはたして同じような感動を抱くかどうか、客観的に判断するのは難しいのだけど、ともかく自分の印象を自由に書かせていただきますよ。
「東京デマイゴ」は、1曲目でありながらアルバム中で一番ゆったりテンポの曲だ。東京の不気味さを象徴するようなノイズで思わせぶりに幕が開く。
続く「故郷ノ空」がいきなりかっこいい。かっちり刻まれるリズムに遅延して乗るギターリフの不思議な心地良さ。
そして人物描画の山田節。
販売機の前にゃ初老の赤ら顔が、
鬼さえ死に至る毒を求めている
くの字に曲がった背骨の男の
疲弊し切った様相で引くリアカーが、
彼の感傷に合わせて鳴いている
3曲目「スキャンティ・スティーラー」は、アルバムに先行して公開された、テンションの上がるキラーチューン。しかしなんだこの歌詞のストーリーと唐突な哀愁のクリーンギターはw
そして次のこの曲のために、スキャンティ・スティーラーはこうも静かに終わるんじゃなかろうかとさえ思える完璧な流れで「ステイン病」へ。
ドラムの刻みとテルミン風の音色の装飾が、どこか輪郭のぼやけた回想世界の疾走感にマッチしていてたまらん。
退屈ばかりの高校で、下手やけどドラムが見つかって
母さん、僕なら絶好調!
ロックンロールスターになってしまうやもしれんよ、愚息は。
いぇー。
歌詞もここたまらん。
次が「ワイセツミー」だ。この曲の流れのせいか、あるいはアルバム用の録り直しがいっそう勢いむき出しな演奏になっているせいか、単体で聴いてたときよりもいっそうかっこよく感じられる。
まだまだBPM下げずに6曲目、「軽蔑ヲ鳴ラセ」は、贅肉のないポップなパンクチューン。
続いてなんともオシャレな「メロウイエロウの街の灯に」を挟んでくるのがまたズルい。後ろでニャンニャン言ってるのはウッチー氏かなw
そして最後、勢い緩めず「HEY BOY GOD LUCK」で幕を閉じる。オシャレな前曲の終わりに、曲名はわからないが誰もが知っているあのメロディをサブリミナル的に提示しておいて*1、この曲のサビで再想起させるというギミックの徹底ぶり。
あとはまあ素敵なボーナストラックがあったりなかったりするわけですけども、そんなわけで捨てるところなく美味しくいただけるアルバムでありました。
全体として見ると、スピード感のある曲が多いけれど、しっかし演奏かっちかちになってきたなーという印象。
特にドラムのせんちょー。実は前からこんなポテンシャルを秘めていたのか、進行形で成長しまくっているのか。
いろんな音色いれてみたり、実験はしているけども、いい意味でバンドの音楽性は固まってきたんじゃなかろうかという印象を受けた。
そろそろいろんなカルマ吹き飛ばして売れてしまうタイミングかもしれないすね。