ロックンロールに蟀谷を

踊れないほうの阿呆。Twitter:@oika

30過ぎて聴く、NakamuraEmi「めしあがれ」

 RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO. 幻想的なタイラクルのステージで初めて聴いて思いっきり泣いた、NakamuraEmiの「めしあがれ」が新譜『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』に収録された。

 

 あのときは酒とタイラクルの雰囲気に酔ったせいもあって必要以上に感動してしまったかとも思っていたが、改めて音源で聴き直しても、やはり琴線がぐわんぐわん振動してしまう。

 もともとNakamuraEmiはフロウカルでフリーキーなグルーヴとポップなメロディのバランスに惚れて聴き始め、バラードなんて全く期待していなかったところに、完全な不意打ちとなる一曲。

 彼女の歌声はバラードだとこんなにも柔らかく響くのか。

 

なんだか全部大事になって 弟はよく来るようになって

庭の花奇麗に咲いた 私は少し優しくなった

母は可愛い声で めしあがれっていう

 「めしあがれっていう」のとこのファルセットで、全身の毛穴が全部ひらくような感覚を味わう。

 

 NakamuraEmiの曲では、30過ぎという年齢でのデビューに関する動揺や焦りがたびたび歌詞として表れるが、この、微妙な親との関係性――依存するでも独立するでもなく、仲良しのようで他人のような関係性をこんなふうに歌えるのは、この年齢だからこそだと思う。

 同じく30を過ぎてこの曲を聴けたことの有難さ。

 今後への期待がますます高まる。

 

 

NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4(初回生産限定盤)

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