ロックンロールに蟀谷を

踊れないほうの阿呆。Twitter:@oika

Bobby Enriquez「Hi-Fly」

 ボビー・エンリケは「野人」と呼ばれたジャズピアニストだ。1996年没。

 彼の名前は拳奏法、肘鉄奏法のような目立つパフォーマンスとセットで語られることが多い。

 が、そのせいでイロモノ扱いしてしまうのはあまりにも勿体ない。

 

 豪快な演奏のベースにあるのは、指1本でも拳でも正確に弾き切ってみせてなお余りあるその打鍵技術。

 そして何よりエンリケが僕を惹きつけるのは、ソロを通して聴いたときに、その打撃が、当然そうでなければいけなかったように――この部分は拳をつくって殴ることこそが唯一の正解であったように納得させられる音選びのセンスである。

  『The Prodigious Piano of Bobby Enriquez』収録の「Hi-Fly」には、そういうエンリケの魅力が十二分に詰まっている。

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