エスカレーターのマナーといえば、駅など混雑する場所では急ぐ人のために片側を空けて一列で乗るのが長らく正義とされてきた。
それが近年になって、安全のために歩行は禁止すべきというルールが正になり、札幌市の地下鉄でも最近になって各駅で掲示が始まったところだ。
しかし、長年の習慣というのはなかなかすぐに変えられるものではない。それが集団での意思決定となると尚のことだ。
札幌でも、実態としては未だに皆、右側を空けて一列に並んで乗っていることが多い。
こういう、一般市民のなかの常識の改訂を速やかに行いたいときにこそ、テレビのようなメディアが頑張ってくれたらいいのになぁと思う。
さりげなく、それでいて速やかに、アボガドをアボカドに変えてみせたときのように。
ともかく、この浸透しきった旧い常識が今後どのように塗り替えられていくのか、興味深く注目しています。
エスカレーターを歩くのがなぜいけないか
さてところで、エスカレーターを歩くのがそんなにいけないの?という話。
「エスカレーターを上るくらいで転ばねぇし、俺は大丈夫」って思っている人も居るかもしれないが、実はそれは理由の半分でしかない。
ちょっと古いが、平成17年の東京消防庁「エスカレーターに係る事故防止対策について(PDF)」の報告によると、自らの歩行による事故(転倒・転落等)が12.1%であるほか、本人は立っていて、歩行者に接触されたことによる事故が1.9%発生していた。
さらに意識調査では、高齢者の61.6%が歩行を危険に感じると回答し、その理由に、歩行してくる人による接触を危ぶむ回答が多く見られた。
たとえあんたが大丈夫でも、あんたが歩くのを嫌がる人がいますよということだ。
ほかには、身体不自由状況で歩行者側(札幌では右側)でないと手すりに捕まれなくて苦労しているという回答も見られた。
歩行より危険なもの
せっかくなので上記報告書の内容を歩行以外についても見ていたんだけど、事故要因としてとりわけ目をひいたのは、歩行よりも、荷物の有無に関してだった。
高齢者の事故のうち実に79.3%で、事故にあった人は何らかの荷物を持っていた。高齢者以外でも、63.2%で荷物有りという結果に。
なんてこった、荷物は危険だ!といいたいところだけど、そもそも何も持たずに外出してる人のほうが少ないような…。
高齢者の何%が普段荷物を持っているのかは不明です。
調査項目を見ると、荷物の大小についても分類しているようだけれど、その種別ごとの割合は不明(よく探すと書いてるのかも)。
ちなみに事故ケースの要因で挙げられていたのは、ショッピングカートやベビーカーなど。
いま調査したらスマホの「ながら歩き」がもっと要因になってそうだけどな。
手すりにつかまりましょう
手すりなんて特に意識して使ってない人も多いかもしれないですが、つかまりましょう。
調査での事故発生率も手すり使用で下がっているんだけど、それだけでなくて、エスカレーターの非常停止装置が手すり使用を前提に設計されてるようだ。
だから極端にいえば、急にエスカレーターが停止したときに手すりつかんでなくてふっとばされたとしても、そういう仕様ですって話なんだな。
これはつかまりましょう。
以上。 ルールを守って快適なエスカレーターライフを。
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